言葉は限りなく少ないなかで物語は子供達の目線だけで進み、緊張感が画面に張り詰めていた。繊細で幻想的な映像の中で、不条理な大きすぎる現実を前にした無力さが美しくも思え、観終ったあとはしばらく呆然としてしまった。
枝優花
映画監督・写真家
痛烈に愛し合う男の子と女の子の、掌が重なり合った。あんなに悲しい触れ合いを私は見たことがない。ジュゼッペの苦しみを、この寓話のような映画がよりビビッドにしてしまった。悲しい。そして美しい。
大九明子
映画監督「美人が婚活してみたら」「勝手にふるえてろ」
この映画は「あわい」だけでできている。少女少年と大人のあわい。夢と現実、社会の表と裏、たゆたう水と硬い大地、海と島のあわい…。フラジャイルな人間の真実はそのあわいのなかだけに映し出される。
鏡リュウジ
占星術研究家
石の内部で水晶などが結晶化するのをジオードと呼ぶ。これは思春期のむせぶような苦しき官能と反抗と冒険をそこに閉じ込めたような作品だ。
嶽本野ばら
作家
美しい自然やアートに自分を映し出し、生きる光を見出そうとする勇気。 残酷さと苦しみの果てにある、人としての生きる力。そして、心から純粋に人を愛すること、愛されることを教えられる。
小高千枝
心理カウンセラー・メンタルトレーナー
この映画を観た人たちは、実際の事件も少年の存在も決して忘れないだろう。フィクションはジャーナリズムとは違う形で現実の悲劇とこんなふうにコミットできたのか、という驚きとともに観終わった。
桜庭一樹
作家・「週刊文春」12月6日号より
あまりにも残酷な現実と、悲しく切ないファンタジーが、奇跡の宝物のように融合した作品。映像の持つ力が素晴らしい。
佐々木俊尚
作家・ジャーナリスト
風も、木々も、光も音も、全てがどうしようもなく恋だった。現実は少年を檻に閉じ込め、少女の未来をむしり取る。夢の中だけで逢えるふたり。幻想と笑うな。この感情こそが、“本当”だ。「傑作」じゃ、足りない。一生分の愛が詰まってる。
SYO
映画ライター
若い男女が異次元でデート。本当の愛があればどこでも逢瀬ができるのです。悲しみの中にも一縷の幸せがあると思うと希望の光を感じます。
辛酸なめ子
漫画家・コラムニスト
主役の二人の持つ、みずみずしさの奥にある暗闇のような不思議なオーラに、胸を掴まれました。彼らの瞳の中に見えた小さな星たちが、また巡り合って、今日もどこかで輝いていますように。
関取花
ミュージシャン
圧倒的なカメラワークの下、リアルな子供達と美しい自然が描かれていて、双方は私達の手の届かないような深い部分で繋がっている。本来守るべきそれらを、私達大人はどれだけ傷つけ貪ってきたか考えさせられる映画だ。
津田寛治
俳優
イタリアの風景が美しいほどに、事件の残虐性が際立つ。マフィアの血の掟はどこまでも残酷で、暴力をちらつかせながら牽制する手法が被害者のまわりを徹底して壊していく。それがなによりも恐ろしい。
丸山ゴンザレス
ジャーナリスト
誰からも顧みられない残酷な運命を背負わされたとき、たった一人、心通う存在を信じられたら。その魂は少しでも、浮かばれるだろうか。この映画は時に巨悪を野放しにする、人々の沈黙をあぶり出す。
安田菜津紀
フォトジャーナリスト
アンデルセンの「雪の女王」でゲルダがカイを求めて辛い旅をしたように、ルナの魂は初恋の相手を探して暗い森を、水の中を彷徨う。彼女の愛が報われる瞬間に、少年と少女の無垢な魂を救おうとする試みに、もう涙しかなかった。
山崎まどか
エッセイスト
実際に起きた事件の悲惨さをそのまま劇映画化するだけでは伝わらない、「他人ごと」意識が生む負の連鎖。ファンタジーの中の方がずっと人間らしいことを強く印象づけ、思わず現実世界を振り返ってしまう。
よしひろまさみち
映画ライター
※敬称略・順不同